風紀実行委員の教室にアイゼル先輩は居た。
他の人らはまだ居ないようなので屋上に誘う事に。
「アイゼル先輩」
名前を呼ぶを顔がこちらに向き、とたんに笑顔を見せるその顔に心臓がドックンと鳴りだす。
まただ…もうこれが何なのか分かった俺は一息ついて笑みを浮かべ、伝える。
「よう、セシル。はえーな。」
「先輩こそ、早いですね。あの、ちょっとアイゼル先輩に言いたいことがあるので屋上についてきてもらっていいですか?」
「ん?おう、いいけど、どうした?」
「屋上についたら言うので…とりあえずついてきてください」
そう伝えると二人で屋上へと向かう。
空は綺麗な水色で、雲も流れていて太陽も照っていていい天気なのが分かる。
誰もいない事を確認し、ドアから離れた場所へと行った。
「あの…アタシ……」
「……」
ジっと見つめてくる先輩にドキドキする。
男だという事を伝えてから告白しようと思ってるのだが、うまく言葉が出ない。
「…大丈夫だ、ちゃんと待ってるから、自分のタイミングで言ってくれ」
「あ、はい…」
先輩は優しい。もし俺が男だと、そして年上だという事伝えても大丈夫だと思う。
が、やはり怖いのはある。でも伝えなきゃ、始まらない。
顔をあげ、先輩の顔を見ながら口を開いた。
「アタシ…いえ、俺、実は男なんです」
「…は?え?男?」
先輩の顔は驚愕したような感じになった。当たり前だけど。
「はい…今は…というか学園では女の子ですけど、学園の外では…れっきとした男で…それを伝えるためだけじゃなくて、他にも言いたい事、伝えたい事があって…」
「えっと、ちょっと…待て。」
「は、はい。ごめんなさい…」
「いや、謝らなくていいけどよ。学園内と学園外ってどういう事だ?」
「実は学園長に手紙を貰いまして、この学園の封印を解くために手伝ってほしいと。そして学園内では魔法で見た目を変える事が出来ると言ってたので本来の姿じゃなく女の子の姿で来たんです。別に騙すとかそういうのじゃないんですけど…」
「そ、そうか…それで男…だというのは分かったが…」
「本当の目的はここからなんですが………」
頬が熱いのが分かる
どうしよう、ダメだったら…いや、ダメより気持ち悪いと思われたら…
「俺、アイゼル先輩が好きなんです!!気持ち悪いかもしれないけど、好きになってしまったんです!」
「っ!!!」
「好きになってしまってごめんなさい!」
頭をペコペコ下げながら謝る。
せめて伝えるだけでも思いながら何度も好きですと言ってると、ふいにぎゅうっと抱き締められた。
「おい、落ち着けって!それにごめんなさいってなんだよ。確かに吃驚したけどよ。」
「せ、先輩…?」
先輩の体。しっかりした胸板が目の前にあり、抱き締められたのが数秒かかって分かり、ボンと顔が真っ赤になる。
先輩に抱き締められてる!?恥ずかしい!!けど嬉しいみたいな!俺乙女か!!
「男なのは、今は置いておこうな。で、マジで俺の事…好きになってくれたのか?」
「は、はい…気づいたら…先輩の笑顔とか、会うたびに心臓がドクドクなって…友達に相談したらそれは恋してるんじゃないかって…」
「そうか。まぁ、俺もお前のこと好きなんだ。男って聞いて吃驚はしたけどな。」
「!!マジですか!うわぁ!やっばい!心臓壊れそう!」
「おいおい、大丈夫かよ!」
「大丈夫じゃないです!!気持ち悪いと思われてると思ったので!心臓がバックバクです!ありがとう、先輩。お付き合いしてください!!」
「ハハハ。喜んで。学園内では今まで通り接するからよ。でもこうして人がいなかったら触れてもいいか?」
「やったぁ!!はい!おれ…あ、いや、ワタシも触れさせて下さい!」
嬉しくて仕方なかった。
クスクス笑い、はははと笑い、そして泣きそうになりながら逞しい先輩の体に再び抱きついた。
ありがとう、先輩。
男の俺を受け入れてくれて。もしかしたら学園外へ一緒に行く時がきたら、その時は一緒に色んなところへ行きたいと思う。
まぁその時は俺のほうが先輩になっちゃうわけだが、そこはまたその時になったらでいいかと思う。
とりあえず終わり。でもこのシリーズ(?)は続くのじゃ