2024-4-3 23:12
04/03 | 銀色の熱情
「魔石を買うのが手っ取り早いかな」
正直なところ、外へ音が洩れなくなるのならありがたいとは思うが……。
「そんな金があるならな」
「うん。今は魔石よりもご飯だよね」
お腹が返事をした。私のではなく、ラピスの。
身体が逞しくなった分、燃費も悪くなっているのかもしれない。
「だから今日のところは、自給自足で……」
少し照れくさそうな顔で笑うラピスに、新鮮な肉を届けてやるとしよう。
私ならそのままかぶりつけるが、人間としてはそういうわけにもいかない。小動物を狩ったので内蔵ごと挽き潰して丸めた。
味付けは塩のみで、ラピスが作った野菜たっぷりのスープへ入れてくれた。お腹が空いているだろうに、ひと手間かけてくれるのが嬉しい。野菜は別に嬉しくない。
「外でも温かい飯が食べられるというのは素晴らしいな。まあ、そのまま食べても温かいといえば温かいが」
「新鮮だろうけど、それはなんか違うような気が……。でも、俺のことも温かいうちに食べてね」
相変わらず、ぶれない。
「少しだけならな……」
昨日噛んだ柔肌は温かいというよりは熱かったなと思い出し、料理の温度も上がった気がした。
簡単に腹ごしらえを済ませたあとは、ラピス待望の魚釣りへ。
街から少し離れないと獲ってはいけないという話だったので、続く海辺を眺めながら1時間くらいは歩いた。ちょうどいい腹ごなしだ。
「凄いね、ずーっと広い池みたいで、向こう側がまったく見えない。ここを泳いでいったら、違う大陸へつくのかな?」
「途中で力尽きて溺れ死ぬと思う」
「浪漫がなさすぎる答え……」
なんと言えばよかったのか、見当もつかない。
こういう時、ラピスが喜ぶような台詞を吐いてやれたらいいのに。
言い直したところで、今更だろうか……と、悩んだものの、特に他の答えが思い浮かぶこともなかった。
「このあたりでいいかな。その前に、ちょっと水遊びしたい!」
「冷たいぞ」
「わかってるから、街では我慢した!」
靴を砂浜に放り投げ、裸足で走っていくラピス。
「うわっ、冷たッ!」
前までなら元気で可愛いだとか、無邪気でいいなと考えたかもしれない。今では活きが良くて美味しそうだなというのが一番初めに出てくる。
欲望が抑えられなくなっているのか、それとも開き直っただけか。自分でもよくわからない。
「クォルツも遊ぼうよ。寒さには強いんだろ?」
「だとしても別に好き好んで寒い海に足を浸そうとは思わない」
正直なところ、外へ音が洩れなくなるのならありがたいとは思うが……。
「そんな金があるならな」
「うん。今は魔石よりもご飯だよね」
お腹が返事をした。私のではなく、ラピスの。
身体が逞しくなった分、燃費も悪くなっているのかもしれない。
「だから今日のところは、自給自足で……」
少し照れくさそうな顔で笑うラピスに、新鮮な肉を届けてやるとしよう。
私ならそのままかぶりつけるが、人間としてはそういうわけにもいかない。小動物を狩ったので内蔵ごと挽き潰して丸めた。
味付けは塩のみで、ラピスが作った野菜たっぷりのスープへ入れてくれた。お腹が空いているだろうに、ひと手間かけてくれるのが嬉しい。野菜は別に嬉しくない。
「外でも温かい飯が食べられるというのは素晴らしいな。まあ、そのまま食べても温かいといえば温かいが」
「新鮮だろうけど、それはなんか違うような気が……。でも、俺のことも温かいうちに食べてね」
相変わらず、ぶれない。
「少しだけならな……」
昨日噛んだ柔肌は温かいというよりは熱かったなと思い出し、料理の温度も上がった気がした。
簡単に腹ごしらえを済ませたあとは、ラピス待望の魚釣りへ。
街から少し離れないと獲ってはいけないという話だったので、続く海辺を眺めながら1時間くらいは歩いた。ちょうどいい腹ごなしだ。
「凄いね、ずーっと広い池みたいで、向こう側がまったく見えない。ここを泳いでいったら、違う大陸へつくのかな?」
「途中で力尽きて溺れ死ぬと思う」
「浪漫がなさすぎる答え……」
なんと言えばよかったのか、見当もつかない。
こういう時、ラピスが喜ぶような台詞を吐いてやれたらいいのに。
言い直したところで、今更だろうか……と、悩んだものの、特に他の答えが思い浮かぶこともなかった。
「このあたりでいいかな。その前に、ちょっと水遊びしたい!」
「冷たいぞ」
「わかってるから、街では我慢した!」
靴を砂浜に放り投げ、裸足で走っていくラピス。
「うわっ、冷たッ!」
前までなら元気で可愛いだとか、無邪気でいいなと考えたかもしれない。今では活きが良くて美味しそうだなというのが一番初めに出てくる。
欲望が抑えられなくなっているのか、それとも開き直っただけか。自分でもよくわからない。
「クォルツも遊ぼうよ。寒さには強いんだろ?」
「だとしても別に好き好んで寒い海に足を浸そうとは思わない」
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