2024-4-25 18:14
04/25 | 銀色の熱情
「ごめん、全然、獲れてない……。クォルツは頑張ってきてくれてるのに……」
元気がなくなってしまった。
それでも、私も何も獲れてないよりはいいだろう。普通に考えて。
「でも、魚はないけどこんなものを拾ったんだ!」
「なんだ? 小瓶?」
ラピスは海から上がって、私の手にそれをハイと乗せてきた。中には何やら紙のような物が入っている。
「食べ物ではないみたいだが」
「さすがにそれは、ひと目見てわかる。これ瓶の中にメッセージが入ってて、海の向こう側から流れてくるんだって」
「別の大陸からか? 普通に考えたら、このあたりの人間が流したものが、流れていかずに浮いていただけのようにも思えるが」
ここ最近で一番深い溜息をつかれた。
「クォルツってば本当に浪漫がないなー。こういうのは、想像するだけで楽しいもんなの」
「そういうものか……」
ラピスが瓶を太陽に透かす。キラキラ光って綺麗だ。中の紙にはいったい何が書かれているのだろう。
「もう中は見てみたのか?」
「まだ。クォルツと一緒に見ようと思って」
明日の天気とか、そんなどうでもいいようなことかもしれない。想像もつかないような宝の地図かもしれない。栓を抜くまで、そこには確かになんかしらの期待がある。
そうか。これが浪漫。
「ワクワクしてきた?」
「とても」
「えっ。案外ノリがいい……」
素直に返事をしたのに、信じてもらえなかったようだ。
「じゃあ開けるね。って、固ッ! こんなの無理。壊したくはないからクォルツお願い!」
任された。悔しそうな顔をしている。きっと自分で開けたかったろうに。まあしかたがない。せめても中身は是非、彼が瞳を輝かせるようなものであってほしい。
「確かに固いな」
「そう言いつつ、アッサリ抜くんだもんなー」
瓶の栓もガラスでできている。流れているときに開かないよう、相当固く押し込んだのだろう。そのかいあってか水の侵入も許した様子はなく、紙はピンと張ったまま綺麗に折りたたまれていた。
内容が気になりはするが、何が書かれているか勝手に確認してしまうのはスマートではないな。
「ほら」
「ありがとう! あっ、このままだと濡れちゃうか」
魔法で手を乾かしてから、ラピスが紙を受け取る。楽しそうなその顔が曇ることのないよう祈りながら開くのを見守った。
「えっ。そんな……。ええ……!? どうしよよ」
「……な、何が書いてあったんだ?」
想像していたどれとも違う反応に、内容が気になってしかたない。読み上げてくれていればいいものを。
元気がなくなってしまった。
それでも、私も何も獲れてないよりはいいだろう。普通に考えて。
「でも、魚はないけどこんなものを拾ったんだ!」
「なんだ? 小瓶?」
ラピスは海から上がって、私の手にそれをハイと乗せてきた。中には何やら紙のような物が入っている。
「食べ物ではないみたいだが」
「さすがにそれは、ひと目見てわかる。これ瓶の中にメッセージが入ってて、海の向こう側から流れてくるんだって」
「別の大陸からか? 普通に考えたら、このあたりの人間が流したものが、流れていかずに浮いていただけのようにも思えるが」
ここ最近で一番深い溜息をつかれた。
「クォルツってば本当に浪漫がないなー。こういうのは、想像するだけで楽しいもんなの」
「そういうものか……」
ラピスが瓶を太陽に透かす。キラキラ光って綺麗だ。中の紙にはいったい何が書かれているのだろう。
「もう中は見てみたのか?」
「まだ。クォルツと一緒に見ようと思って」
明日の天気とか、そんなどうでもいいようなことかもしれない。想像もつかないような宝の地図かもしれない。栓を抜くまで、そこには確かになんかしらの期待がある。
そうか。これが浪漫。
「ワクワクしてきた?」
「とても」
「えっ。案外ノリがいい……」
素直に返事をしたのに、信じてもらえなかったようだ。
「じゃあ開けるね。って、固ッ! こんなの無理。壊したくはないからクォルツお願い!」
任された。悔しそうな顔をしている。きっと自分で開けたかったろうに。まあしかたがない。せめても中身は是非、彼が瞳を輝かせるようなものであってほしい。
「確かに固いな」
「そう言いつつ、アッサリ抜くんだもんなー」
瓶の栓もガラスでできている。流れているときに開かないよう、相当固く押し込んだのだろう。そのかいあってか水の侵入も許した様子はなく、紙はピンと張ったまま綺麗に折りたたまれていた。
内容が気になりはするが、何が書かれているか勝手に確認してしまうのはスマートではないな。
「ほら」
「ありがとう! あっ、このままだと濡れちゃうか」
魔法で手を乾かしてから、ラピスが紙を受け取る。楽しそうなその顔が曇ることのないよう祈りながら開くのを見守った。
「えっ。そんな……。ええ……!? どうしよよ」
「……な、何が書いてあったんだ?」
想像していたどれとも違う反応に、内容が気になってしかたない。読み上げてくれていればいいものを。
コメントする
現在コメントを受け付けていません。