ブライダル


僕はまだ、希望を持っている。
自分の人生に、可能性を感じている。
言葉ではそんなことないって、言うんだけど、そう言ってから悲しくなるのは、そんなのが本当は嫌だからだ。


一度華やかなものに触れてしまうと、中毒みたいにもっと欲しくなって、無い状態の時はひどく虚しくさせる。

お金に似てるのかもしれない。
生きていく上での満足感というか、充実感というのが、華やかさにはあるのだと思う。


いくらあっても、足りないのに。
全然なくても、知らなければ、欲しないのに。


残念なことに、そういうものが身近にあった時期が僕にはあって、その時の思い出が、なかなか忘れられない。僕はもう、全然違う世界で生きているのに、うまく切り替えられない。

本当の自分は結構な田舎者で、もともとちょっと大きな建物とか、賑わう街並みとかにいちいち興奮して、目がキラキラしてしまうタイプなのだ。

そのくせ人混みはそこまで得意じゃ無いし、自然がとても好き。どっからどう見ても都会向きじゃない。

そう、僕はシティボーイにはなれないのです。残念。


今の僕を支えているのは、なぜか努力もしないのに次から次へと湧いてくる仕事と、ほんの少しのクリエイティビティだ。


そして仕事をしながら時々思う。僕はこの状態以上にはなれないんだ、と。


それでも僕は、希望を捨てられないのです。おかしなことに。

もしかしたら、若さのせいかなとも思ったけれど、アラサーと言われても何も言えない歳になろうとしていることを思い出して、歳のせいには出来ないことを痛感する。


嫌じゃないけど、ちょっとだけ胸が苦しくなる。


うん。読んでくれて、ありがとうございます。