長崎県佐世保市の高校1年の少女(16)が同級生を殺害したとして逮捕された事件に絡み、少女が小学6年当時に5回にわたって起こした給食への異物混入騒ぎで、混入物が5回とも異なっていたことが30日、学校関係者への取材で分かった。

学校側の調査で、異物混入の動機は4回目まではクラスメートとの口論だったが、最後の5回目は「不明」のままだった。動機の解明が不十分だったことが、少女のその後の成長に影響しなかったのか。
佐世保市教委の対応も問われそうだ。

学校関係者によると、少女は小学6年生だった平成22年12月1日から10日ごろにかけて計5回、同じクラスの女児と男児の給食に異物を混入。被害者2人の健康被害はなかったという。
1〜4回目は女児を狙い、水、ベンジン、液体漂白剤、靴用の粉末洗剤の順に使用していた。
一方、5回目だけは男児を狙い、衣類用の粉末洗剤を使っていた。
いずれも薬物など0・3ミリリットルを水道水に混ぜて使用。薬剤は家から持ち出していた。

異物混入の動機について、少女は同年9〜10月ごろに、学習態度をめぐり同級生の女児と口げんかになったと説明。
「『今から勉強ばかりするのは分からん』といわれ、ばかにされたように感じ、憂さ晴らしをした」と話したという。
また「テストの点がすべてじゃないやろう」と言った女児に、「テストの点がすべてさ」と言い返したこともあったという。

一方、男児への混入については、市教委の調査でも動機は判明せず「不明」のまま。
女児の給食への混入を繰り返すうち、薬剤の人体への影響に関心がうつった可能性もある。
学校関係者によると、騒ぎは、5回目の混入直後に表面化。学校側の指導やカウンセリングなどで問題行動がおさまったため、男児を狙った動機については、それ以上、究明されなかった可能性がある。

市教委は「少女の進学先に事案の概要を伝え、中学や高校でも見守りは続けられていた」と説明している。
当時の学校関係者の対応について、教育評論家の尾木直樹さんは「動機が分からないまま見守りを続けても効果は出ない。
心の問題を早期に把握できていたら、殺人事件には発展しなかったかもしれない」と指摘する。
中村法道長崎県知事は「兆候らしきものはあったのかもしれない。その時点での対応を含めて検証し、取り組みを協議していく必要がある」と話している。
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