緊急事態宣言より我慢ならない「マスク圧力」について今こそ言ってやりたいこと
中川 淳一郎

「謎ルール」が多過ぎる。みんなバカらしいと思いながらやっているであろう、その様が滑稽で、やはり自己嫌悪に陥る

当初から謎だったのが「飲食店に入る時は着け、着席したら外し、トイレに行く時は着け、会計時に再び着けて外へ出る」というコンセンサスが存在することである。昨今では、「マスク会食」なる珍ルールまで提唱されているが、そんな狂ったことをやっている客など見たことがない。店だっていちいち注意するのは面倒くさいはずだ。テレビカメラが取材に入っている時だけ、プレイとして注意しているのだろう。

先日、佐賀市でテーブルに巨大アクリル板が設置されている居酒屋に入った。前後の客の飛沫が飛ばない対策だが、左右は関係ない。そして佐賀名物の「イカの活け造り」がやってきたのだが、このアクリル板があるせいで巨大な皿を置くことができない。

しびれを切らした幹事が店員に「これ、外していいっすよね?」と聞くと、「いいっすよ!」とのこと。要するに、このアクリル板も消毒液も検温もマスクもぜんぶ同じで、「コロナ対策道」「コロナしぐさ」を体現しているだけなのだ。

同日、ホテルで検温されたら33.4度だった。「おい、これ、死ぬぞ!」と思ったのだが、カウンターの従業員は「37.5度以下と出たんで、OKです!」だと。彼女もバカバカしいとは思いつつ、職務上「コロナしぐさ」をしなくてはならないのだ。日本全国、なんと意味のない儀式をしているのだろう。