尾身茂が理事長のJCHOは公的病院の責任果たさず、311億円もの補助金をせしめた【コロナ禍でも黒字 日本医師会の賃上げ闘争】

日刊ゲンダイDIGITAL 2021/12/09 06:30

688億円の現・預金を持ち、685億円を有価証券に投資している裕福な独立行政法人がある。尾身茂・政府感染症対策分科会長が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)だ。

JCHOは旧厚生年金病院など57の公的病院を運営。昨年度は新型コロナウイルス対策として311億円の補助金(医療従事者に直接交付された慰労金を除く)を受け、コロナ前の19年度よりも利益率が4.5%もアップ。黒字額は200億円に上った。

JCHO設置根拠法は公衆衛生危機に対応することを義務付けており、発足時には多額の政府拠出金を受けている。本来なら先頭を切ってコロナ専門病院に名乗りを上げるべきなのに、第5波の渦中の7月末時点ですら、コロナ患者のための入院病床は総病床数1万7000のわずか6%弱に過ぎなかった。

昨年3月以降、全国で817人のコロナ患者が入院できず、自宅などで亡くなっているのに、尾身JCHOは公的病院としての責任を果たさず、多額の補助金を受け取ったのだ。まさに焼け太りである。

■厚労省の役人も共犯

尾身氏は厚労省の元技官(医師免許を持つ官僚)で7年前にJCHO理事長に就任した。政府のコロナ対策の顔である尾身氏のJCHOのコロナ病床が少な過ぎることは、マスコミが繰り返し追及。ところが、尾身氏だけでなく、厚労省もコロナ病床を増やすことに消極的だった。

それを如実に物語ったのが8月20日の厚労相会見だった。

「『JCHOに対し、法に基づき患者受け入れを要請する予定があるか』と記者に聞かれ、当時の田村憲久厚労相は『法とは医療法か感染症法のこと?』と聞き返した。このやりとりによって、受け入れに消極的な厚労省の役人が、設置根拠法に基づきJCHOに受け入れ要請できることを、大臣に教えていなかったことが表沙汰になってしまった。慌てた厚労省と尾身氏は急きょ、JCHOの東京城東病院をコロナ病院(約50床)として差し出さざるを得なくなったのです」(全国紙厚労省担当記者)

尾身氏と厚労省、国立感染症研究所は、結核や天然痘患者らを「隔離」した明治時代と同じやり方を新型コロナに適用した。明治時代同様、隔離を優先して治療をなおざりにした結果、8月だけで250人のコロナ患者が自宅などで死亡した。この上、診療報酬をプラス改定して、尾身氏の給与を上げてやる必要はあるまい。

(長谷川学/ジャーナリスト)