マスク生活長期化 口腔トラブル増加、感染症リスク高まる恐れ

1/11(火) 17:05
北海道新聞

 新型コロナウイルス禍でマスク着用が「日常」となっている中、虫歯や歯周病などの口腔(こうくう)トラブルを抱える人が道南でも増えている。マスク着用中の息苦しさから口呼吸が多くなることに加え、人と会話をする機会が減ったことなどで唾液の分泌量が減少することが要因。口腔環境が悪化することで感染症のリスクも高まることから、函館市内の歯科医療機関は定期的な検診、早期治療を呼びかけている。

 函館歯科医師会によると、市内の歯科医療機関に虫歯などの治療で訪れる患者数は2020年春ごろから激減。昨年夏ごろからは徐々に戻ってきているが、新型コロナ流行前の8割ほどだという。

 感染を心配して受診をためらう人が多く、半年に1回のペースで検診に通っていた函館市の70代の男性は「感染が怖くて2年くらい(歯科医院に)行っていない。少し歯が痛くても気のせいだと思うようにしている」と話す。

 また、マスクで口元が隠れるため、「前歯が抜けても『人に気付かれないから』としばらく放置していた患者さんもいた」と沢木健会長は困惑する。

 マスク着用で虫歯や歯周病のリスクは高まるという。口呼吸によって口が開いている状態が長く続き、口の中が乾燥しがちになる。さらに会話の機会が減ることで口の周りの筋肉が衰え、唾液の分泌量が減少することで虫歯や歯周病、口臭の悪化につながるという。

 中でも、歯周病菌はウイルスの増殖を防ぐ抗菌物質の働きを鈍くするため、感染リスクが上がるとされる。沢木会長は「欧米の研究では、口腔トラブルを抱えている人のインフルエンザ罹患(りかん)率はそうでない人の2倍以上という結果も出ている」と説明する。