濃厚接触者の特定調査はやめるべき 第6波の今こそ認識の転換を 保健所トップが語る“提言”

1/14(金) 18:29
関西テレビ

オミクロン株の流行で再び感染が急拡大している新型コロナウイルス。
発生する患者すべてに関与し、疫学調査や健康観察を行う、“命を守る砦”が保健所です。
しかし、これまでのやり方では限界を迎えると保健所のトップは危機感を募らせています。
大阪府の豊中市保健所・松岡太郎所長に、これからの保健所とコロナの関係はどうあるべきか聞きました。

■濃厚接触者の待機期間を14日→10日程度に 国の専門家会合が政府に提言へ

新型コロナ対応を厚生労働省に助言する専門家会合のメンバーは13日、「感染が拡大している地域では濃厚接触者の待機期間を10日程度に短縮できる」と提言する方針を示しました。
従来株の潜伏期間が5〜6日とされているのに対して、オミクロン株は2〜3日とされていることを受けての対応です。
松岡所長はこの対応を歓迎し、さらに踏み込んだ提言をしています。

■「抑え込みはもはやできない」 疫学調査の見直しを

松岡所長は濃厚接触者を特定する疫学調査をやめるべきだと主張しています。
従来株の潜伏期間では、陽性者がいつ、誰と会ったかなどを保健所が調べ濃厚接触者を特定する疫学調査を行うことで、感染の抑え込みが一定できていました。
しかし、2〜3日が潜伏期間とされているオミクロン株では、濃厚接触者が分かる頃にはすでに発症していたり、感染させている恐れがあったりするというのです。
松岡所長は「言ってはいけないが、疫学調査に無力感を感じている。学校や高齢者施設などは必要な調査をしたいが、家庭や友人関係まですべてをきっちり把握するのは非常に難しい」と、もどかしさをあらわにしました。
全国一律で、感染者本人から濃厚接触者に連絡をする形に変えるべきとしています。

■患者への“ファーストタッチ”や経過観察は医療機関に軸足を移すべき

さらに松岡所長は、これまで全ての患者に対して保健所が連絡を取り、自宅療養者に対しては毎日健康観察をしている現状にも限界が来つつあると指摘。
インフルエンザや風邪のように、かかりつけ医が患者を診察したあと、薬を処方したり経過観察をしたりするのが望ましいと主張しています。