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Court record

※逆裁パロ風味ですので、苦手やら違和感の方はバック推奨←




















































―――――ーーーーーーーーーーーーーー

先生…先生はいつも、
『真実』へ導いてくれるんだー…

―――――ーーーーーーーーーーーーーー



「お、俺じゃ無いよ…信じて…っ!」

蘇る記憶の断片

俺を見る皆の目は、『お前がやったんだ』と確信していた…

「どうして…っ…!」

俺じゃ無いのに

そんな事してないのに…

気が付いたら拘置所に入れられて、お金も知り合いもままならない俺の弁護を引き受けてくれる人なんて、居なかった…

「…っ…く…ぅ…」

頭を抱えて、声を殺して

ただだだ迫る闇に怯えて居たんだ…

「お前は犯人では有り得ない」

不意に掛けられた声に弾かれる様に顔をあげる

「…そうだろう?」

整った口角を上げ、不敵に笑ったそれが、最初ー…



法廷で暴かれていく嘘

どんな闇でもその指先で切り裂いて

その姿は、とても…


「アイツは犯人なんかじゃないですよ!!」

硝子越しに声を荒げる

だって、嘘だ

そんな筈無い…

「貴方が言ってるのはおかしいよ!アイツを知らないから疑ってるんだ!!」

両手で叩いた机から隔たりまで身を乗り出して抗議する

「アイツはやってないっ!!」

頭に血が上ったのか、いやに興奮している自分に対照的な先生は、ただ長い足を組んだまま俺を静観していた

「…そうで無ければ、真実として成り立たない」

「貴方の推論が間違ってるんだよ!!」

必死に叫ぶ俺の声は届いているのか…?

「でなければ、どう転んでもお前が犯人となってしまう」

「…え…?」

俺じゃない、それは俺が解ってる

じゃあ…?

ドクン、と高鳴った胸は息苦しさを呼び起こす

酸欠の脳が、先生の言葉に呼応する

『あの時』の言動

白い紙に黒が浸蝕するみたいにー…

「……ッ……アイツじゃ…無い…」

微かな声で否定する

そんな訳無い

そんな筈は…

指先が急速に冷える

「俺……俺、が…やったんだ…」

無意識の様に言葉が出た

アイツじゃないなら、俺が

俺が認めて立証されてしまえば、きっと…

「恐れているのか?」

彼は射抜く様な視線を向けている

「いいえ…」

「真実を恐れ、隠そうとする、か…」

俺の心境を読んだかの様に彼は話す

「だが…」

赤紫に見える瞳が静かに、けれど苛烈に輝いた

「本能で真実に気付き、恐れ、幾らソレを闇に包むもうと、必ず俺が真実を曝し出す」


この人は、『怖い』

本能的な恐怖が、消えなかったー…




突き付ける欠片

検事の必死の攻防も、時に突き崩し、時に再構築し、先生は真実への道を作り上げて行った


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!!」


アイツの断末魔みたいな絶叫は、多分…忘れられそうに無い


木槌が降ろされた頃には、周囲の雰囲気も一変していた





「その…」

閉廷した法の箱庭を身を翻し去る彼を必死に追って、俺はまだ整理しきれない頭で言葉を捜した


「Q.E.D.…お前の無実は立証された…良かったな」

そこに祝いや喜びの気持ちが有ったのか判らない態度で言われた言葉

審理中の恐怖と一種の神懸かった姿では無いその人は、俺に『興味が無い』と言いた気な雰囲気だった

このまま

きっと、このまま終わる事も出来たのかも知れない

でも

「あ、あのっ…!」

生まれ変わった様な気持ちが、俺を突き動かしたんだ…

「俺に弁護を教えて下さいっ!!!」





















あれから数年、苦節を味わいながらも、今、俺の左胸に輝く金色は無駄じゃない


「はぁ〜…今日も開店休業だよ…」

先生が姿を消してから依頼がめっきり無くなり

暖かな陽気に眠気を誘われながら、片手間に過去の判例等を眺める

…どうも先生は性格的にギリギリな弁護を受けている…

おそらく、そこからの逆転無罪が楽しいのかも知れない…なんて、依頼者には到底言えなさそうな予感すらする


「ふぁ〜…ぁ…」

更に眠気を刺激する活字を閉じ、棚に戻そうとする

でも…

扉を叩く音

総てが動き出す瞬間


ねぇ、先生?

俺も真実を恐れずに、立ち向かえる人になれるかな?

ううん、なるから…

だから、絶対大丈夫だよー…
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