それは、きっとー…
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水音が体中を支配している。
閉じた瞼の裏側からでも解る、淡い蛍光緑の様な光。
ゆらゆら、ゆらゆら。
漂う、無重力の揺り篭。
体内にも充満した液体は、完全に自分と世界を隔離している様だ。
胎内の中みたいで、
暖かくも冷たくも無い空間。
薄く目を開けば霞んでる様な視界と特殊ガラス腰に現実を活きる命が見えた。
興味無さ気にまた目を閉じる。
今は、見たく無いんだ。
無くした細胞(パーツ)の修繕と、
減らした魔力を目一杯詰め込まれる。
『器』はいつも貧乏籤を引かされる、
簡単に言うなら『不幸』だ。
そこに『器』が有るからこそ、満たし、零し、空にする。
希望と言う名のナニカを、絶望と言う器に注ぐ。
細胞の隅々に酸素や水が贈られる様に当たり前にその行為は起こる訳で…
器さえ無ければそんな概念も無かったんじゃ無いか?
なんて、変な事考えてみたりして。
こぽり、嘲笑う。
今吐いた言葉も、今流した水滴も、
意味なんて無い。
まだ君を助けられ無い。
絶望の底で見えた輝く欠片は、ただの小石の煌めきだったりして。
要するにまやかしなんだよ。
お得意の嘘。もう満杯だよ。
ゆらゆら、ゆらゆら。
いい加減思考も溶けきってしまえよ、
どうせ排水作業は訪れるんだ。
ねぇ、聴きたい事が有るんだよ。
『俺は、誰なの?』