廃色九龍亭

九龍颯刃は知覚者達が集う『学園』の生徒だ

『学園』は政府公認の特殊な技能を身に付けた人間だけが入れる､国内一の施設である



そんな学園は､教室で目が覚めた瞬間から､変わっていた

分厚い金属に覆われた窓､階段の鉄格子､至る所に設置された監視ｶﾒﾗ……明らかに普段と違う学園

慌てて向かった玄関は､見たことも無いような機械で封鎖されていた


「あ〜､あ〜……生徒の皆さん､至急体育館へお集まり下さい!!
繰り返します､生徒の皆さんは……」


突然鳴り響いた校内放送に導かれ､体育館の扉を開けるとそこには見慣れた顔触れが集っていた



親友兼幼馴染みの七虎勇音
ﾊﾟｰﾃｨﾒﾝﾊﾞｰの六凰鳴狐を始めとした

八蛇火澄
四魚綺咲
五鴉斎
三狼夕華
二猿鏡人
一馬漣
法水月影

と言ったﾁｰﾑﾒｲﾄの他に

木城誠
蛍原歩夢
大宮篤瓏

李鷲皇
ﾙｼﾌｧﾝ･ｴｾﾞﾙ･ﾊｲｾﾞﾝﾋﾙﾄﾞ

の15名が､唯一学園に存在する生徒である



そこに『学園長』を名乗り､飛び出したﾏｽｺｯﾄ

見間違えようの無い､颯刃のﾊﾟｰﾄﾅｰﾐﾐｲ赤兎は違和感すら覚える程､楽しそうに宣言した


「ｵﾏｴﾗはこの学園で一生を終えるのさ!
それが嫌なら卒業……他のﾔﾂﾗを殺してみろよ!!」



唐突な発言に混乱するも『殺しなんて起きない』と信じ､15人は出口探しに奔走する




宣言から3日目､何事も無かった日々は赤兎の策略で終わりを迎えた……

配られた映像ﾃﾞｨｽｸ

颯刃はその卒業後のご褒美映像を再生する
そこに映し出されて居たのは､温かい家族からの言葉……だった……

一瞬の砂嵐の後に映されたのは無惨な姿に荒れた実家
ただ事では無い何かが起こった証

映像を再生した皆はそれぞれが様々な反応を見せた

怯える者､楽観視する者､疑う者……
波乱の夜が､幕を下ろす





恒例とした朝食会､集う生徒､足りない人数

あまりの遅さに､颯刃は相手を呼びに向かう
夕べに交換した個室､応答は……無い


一抹の不安の中､ﾄﾞｱを開けると､乱闘の跡が部屋に残っていた

姿の見えない相手を探し､開いたｼｬﾜｰﾙｰﾑ
噎せ返る鉄の臭気､壁に凭れた人間､いや……かつて人間だった､それ


気が付いたら叫び声が聴こえた､それが颯刃自身の声と思考が追い付いた瞬間､意識がゆっくりと暗転した









「こうして､俺達の日常は､崩れてしまったんだ」