廃色九龍亭

ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ、ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ

泡沫が光ながら消える
下から上へ 揺らぎ揺らぐ

円柱の棺　眠る裸体

呼んでいるのは誰だ?

ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ、ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ……

此処へ来い と、其処に居る


「お前は、誰だ?」

「僕は、君だ」

「俺は、お前か?」

「君は、誰だい?」


絡まり 縺れる

呼んでいるのは、誰だ?


早く、早く

「煩い」


此の身は誰?
其の身は誰?


「全部、嘘だよ」


なら


「全部、本当か」



此の身を造れ 此の個へ宿れ 此の間に留まれ


「この子に紡げ」


降り下ろされたのは何だったか?

煌めく刃?
重圧なるｲｼ?


呑み込まれる 埋められる、焼き付ける

仮の器に仮の魂を流し込む 満たして充たして


ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ、ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ……




流れる、漏れ出る、広がる 今、口を開けて



あの ち は のまれて

どうして どうして


ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ、ｺﾞﾎﾟｺﾞﾎﾟ……

泡沫が流す、流れが溶かす、とかされて、それから?



飛沫 舞う 繋がる 伝わる 明かされる

選べ 選べ 此処へ留まれ




流れ出す、流れ行く、螺旋の渦を描く



吐き出したなにか 濡れた体から滴るそれ




「理解なんて、出来ると思うか?」




薄明かり、赤紫の苛烈が耀く
反対は、青白く焼けながら