【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】民間の「幽霊病床」洗い出しを! 東京に“使用率0%”が7施設

2021/12/7 11:00

岸田首相は10月14日の記者会見で新型コロナウイルス対策を抜本的に強化するとし、さらに対応病床と申告されながら実際には使用されなかった病床が多かった反省を踏まえ、対応病床の80%以上の稼働を目指すと同時に、いわゆる「幽霊病床」の見える化を進めると表明しました。

幽霊病床というのは、受け入れ可能と申告しながら実際には使用されていない病床のことです。新型コロナ患者を入院させた民間病院には補助金が支給されます。重症患者病床は1床につき最大で1950万円、それ以外外の病床には900万円の補助金が支払われます。

中等度以上のコロナ患者を受け入れる能力がないのに、軽症患者だけを受け入れることで補助金を受けている病院があります。なかには軽症患者も受け入れる能力がないのに「コロナ病床」にカウントされている幽霊病床も少なくないようです。8月末の時点で東京の172病院におけるコロナ病床の使用率をみると、50の病院が100%を超えていましたが、40%未満の病院が27施設ありました。驚くことに0%という病院も7施設ありました。

国民の税金が補助金というかたちで支給されるのですから大きな問題です。日本医師会は首相の発言を受けて幽霊病床という言葉に反論していますが、実際に多くの重症患者を受け入れているのは民間病院でなく公的病院です。

民間病院が重症患者を受け入れるようになれば、公的病院の負担も軽くなるはずです。政府は新規患者数が少なくなっているうちに、中等度や重症のコロナ患者を受け入れる能力のある民間病院をチェックするべきです。

政府は幽霊病床の見える化などという曖昧な対応でなく、民間病院の幽霊病床を洗い出してほしいものです。さらに中等度以上のコロナ患者の入院に対する補助金は、事前の申請でなく実績に基づいて支給するべきです。