「1の世界では遠く離れていた」
「1と0の世界では届かない」
「0の世界では消滅した」
あぁ…ならばどうすれば…?
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一度触れた『それ』は、余りにも強烈な存在だった。
順応する数が固体値に変貌する。
あぁ…、
高い空に手を伸ばす。
「アレを空と呼び、欲する者よ」
遠い色彩は淡濃を滲ませている。
「汝に問おう、我が手に在るモノは何か?」
突き出した腕の手を軽く握る。
誰に語る訳でも無い振動は、波を弱めて消え去った。
「コレは何だ、空気か、空か?」
押し問答に解など求めては居ないが…。
似ている。
『それ』におけるχなど、今の自分には解けないのだ。
混ざり合うか?
消えるだけか?
0の世界では全てが無だ。
1の世界では永遠に等しい。
この場所はどうか?
0と1の世界、その狭間に限り無く迫った時…
0.000000000000000001%の瞬間。
俺は『それ』に辿り着くのか…?
仮説は域を出ず、今度も鐘が鳴った。
動き出す数の海に沈む。
騒々しい波に揺れながら歩く。
何時になれば、この難題に終止符は打たれるのだろう…?
だが、俺は知っている。
「二律背反こそが、最大の快楽たる事象である」…と。