吉岡さんが見た夢。
がらがらと何か引っ張りながら、延々両側を高い壁に挟まれた道を歩く。
引きずっているのは旅行鞄のようだと思う。ただ、振り返ることもできない。
両側の高い壁は、ベクシンスキーというポーランドの画家が描くおどろおどろしい世界の壁によく、にている。
概して、現実感のない世界。
夢の中で、夢だと気付く。
しかし、覚める方法がない。
いつしか、道は自分の家にたどりつく。
そのまま、部屋に行き、眠りに付き。
「今日になった」
頭をかく吉岡さん。
いまが夢の続きなのか、今まで現実だと思っていたのが夢だったのか、もはやわからないという。
やはり引きずっていたのは、ぼろぼろの旅行鞄。そんなものに見覚えはないし、開ける勇気かないとのこと。