澤路さんは夢の中で推理小説を読んでいた。
 最後まで読んで犯人がわかると、その犯人に口封じのために殺されると噂される、曰く付きの作品だった。
 物語が佳境に差し掛かると、地の文の様子がおかしくなる。

そして彼は語りかける。
「あなたはページをめくるのを止める。自分ひとりで目覚めるために」

 次の瞬間に、娘の泣き声で目が覚めた午前3時。
 夢の中で最後まで読んでたら、と思うとゾッとする。