ある春の昼下がり。
 ふと、茂みから赤ちゃんの声がした。

 さかりがついた猫の鳴き声は、赤ちゃんに似ている。驚くことはない。

 しかし、茂みから顔を出したのは、満面の笑みを浮かべた赤ちゃんだった。