布団を干したときのいい香りは、ダニの死臭だという話がある。本当なのか、都市伝説なのかはわからない。

 人間を含め、動物の死体は腐敗の過程で凄まじい臭気を放つが、白骨化したものは、案外に良い匂いがすると聞いた。
 これも事実なのかはわからない。

 ただ、拜島さんのところに現れた骸骨の幽霊は、なんともいえない良い香りを漂わせていたのだという。

「お香じゃない?」

 鐘子が言うと、拜島さんは納得したように手を打った。